【防弾スーツやめて】ジョン・ウィック:コンセクエンスの感想

映画のレビュー

今は影を潜めつつあるアクション映画というジャンル

力士がボディガードしてるということで観に行きましたなだれ込む敵を張り手でスクリーンの外へ押し出すカットは必見。日本の映画業界もこんな感じに自国の文化をエンタメに昇華することができたら、もっと面白い映画も撮れると思うんだけどなー。

忍者とか手裏剣とか侍とか、ひたすら暴れさせるのも一興じゃないですかね。居合い切りの映画とか観たい。

ジャッキー・チェンのポリスストーリーのアクションが大好きな私にとって、今の映画でアクション観たい欲を満たしてくれる映画はかなり少ないんです。脚立やハンガーラックで肉弾戦するジャッキーの映画がまた観たいけど、もうお年を召されているのでゆっくり余生を過ごしてほしいところ。(ちなみにいまだに現役)

今後のアクション界隈はザ・レイドのイコ・ウワイスとヤヤン・ルヒアンに期待しましょう。ちなみにヤヤン・ルヒアンはジョン・ウィック3作目の終盤に強敵役で出演してる。

このブログでは何度も言ってるけどザ・レイドは傑作アクション映画です。

さて、第一作でマニアックなコンバットアクションで観客を魅了したジョン・ウィックですが、今作はちょっとどうなんだろな〜といったところ。

リアリティとファンタジー

良い映画というのはファンタジー要素にいかにリアリティを持たせられるかを、常に考えられて撮られている。

今作ジョン・ウィックなら、非常に高度な戦闘技術を持ったキアヌ・リーヴスが多くの敵を相手に乱戦を生き残っていくのがみそだ。

当然、そんなことは現実的に不可能に近いのだが、ジョン・ウィックはマニアックな戦闘描写でファンタジーな戦闘に説得力を持たせることに成功した。

例えば拳銃はお手本通りの、人質をとった犯人を断崖絶壁へ追い詰めた刑事みたいにを腕を伸ばして構えたりしない。

顔の斜め下あたり、腕をたたんで構えている。これは腕を伸ばして体を固定する必要がないくらい近距離の戦闘を想定しているからで、この間合いこそ、ジョン・ウィックが最も得意とする距離なのだ。

時には柔道や柔術を駆使して敵を制圧していく姿は惚れ惚れする。

だがどういうわけか、これらを台無しにしてしまった要素が2作目以降に登場した。

防弾スーツである。

おい!スーツのヒラヒラで頭を守りながらヒョコヒョコ移動するキアヌ・リーヴスの間抜けっぷりったらないぞ!

なんでこんな演出を採用してしまったんや・・・

防弾スーツが開発されたらおそらくこんな戦い方になるよね〜と、撮影中に誰もおかしいことに気が付かなかったのか、リアルを追求する以上避けて通れなかったのか、このスーツで頭部を守るアクションのせいで戦闘が間延びしている。

ファンは華麗なガンハドリングで敵を圧倒するキアヌが観たいんです。

敵も被弾したのになんかヒットポイントまだ残ってますみたいにのけぞりもしない。

あれですかね。

スーパーアーマーでもついてるんですかね。

ゲームを意識しているというのは知ってたけど、正直これはどうなんだといったところ。

リアリティとファンタジーの境界線をどこにするかというのは難しい問題です。銃を持った敵を力士が張り倒すなんて絶対あり得ないんだけど、それが受け入れられるのは私が日本人だからなんでしょうか。

もちろん良い演出もありますよ。力士の張り手もそうだけど、敵を確実に仕留めるために倒した敵の頭部に更に一発の銃弾を打ち込むカットと言ったら、なんてマニアアックで素敵な描写でしょうか。

これは戦場での不確実性を少しでも減らすという、戦闘することに向き合わないと決して描けない、さり気ないカットなんです。

イップマンのドニー・イェンが盲目の剣士役で出演してて、勝新太郎の座頭市のオマージュかと思ったんですが、どうやらローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリーのオマージュっぽい。ローグ・ワンのドニー・イェンも盲目の剣士だったし。

やっぱり続編が公開されたら観にいく

妻の忘形見であった車と犬を奪われた復讐から始まったジョン・ウィック。様々な状況、勢力のバランスが複雑に絡み合い、目的だった復讐はやがて自由の獲得へと変化した。ただ、愛した妻との思い出を抱き続けるためジョン・ウィックは戦い続ける。

まあ殺しを生業にしてる人間に安息なんて無いわけで、そうした人間が平穏を得ようと思えばとんでもない労力を要する。今回も例に漏れずな訳ですが、復讐劇が最後、平穏を迎えて終わる物語ってあるんでしょうか(もちろんそうはならんやろというトンデモ展開を除いて)

ともあれ、アメリカ視点で描かれる日本は相変わらず面白いので見どころは満載です。顔面に日本国旗の化粧した舞妓さんとかね。君ハリウッド版ゴースト・イン・ザ・シェルにも出てなかった?

梅田駅で電車に乗ったら内装がアメリカ仕様という作り込みの甘さも可愛い。

総じて、何かの映画で観た印象的なシーンがたくさん盛り込まれてて、作品全体がオマージュになっていると言った感じ。

それが映画として良いか悪いかはさておき、目をみはるカットが多いことには間違いありません。映画の中に他の映画を取り込むというのも、映画の妙というやつです。

映画好きにしかできないけど、映画好きならこんなあからさまなことはしねぇよという感想もありますが、ポップコーンとコーラをお供に観るには最高です。

余談でTOHOシネマズのポップコーンに北海道バター醤油という味があるのですが、滅茶苦茶美味しいのでおすすめ。


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